漆工 綿引千絵の奮闘記
 
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輪島塗の良さ
 今日で能登半島沖地震から3週間が経った。
 私の知り合いはみな体は無事だったが、何かしらの被害は受けており、避難所に行かないまでも自宅で不自由な生活をしている人、商売の品がずいぶん駄目になってしまった人などいろいろだ。連絡を取ってみて、やっぱりこんなに大変なんだ…と、ショックというか気の毒というか、なんとも言えない気持ちになった。でも、輪島の人の声を聞くと恐怖と疲労の中でも前向きなので、ほっとするし尊敬もする。


 輪島に元気が戻るために、今日は輪島塗のセールスをさせていただこうと思う。漆器業は漆の液体、輪島地の粉、木地、製作中の漆器、完成した商品、どれも被害が大きかったと聞いている。小さな購買運動だろうとも、輪島の要は漆器産業なので、是非とも輪島塗の良さを皆様にご紹介したい。義援金も必要な助けだけれど、ぬりものを買って使えば、輪島も助けられるしご自身も楽しめる。どうかよろしくお願いします。

 輪島塗といえば高級漆器、それは間違いない。ハレの漆器、お客さん用、料亭の器、といったイメージも当然かもしれない。今は「ふだんづかいの漆器」という流れがあるが、それも、高い割に古い型の漆器を作り続けていた‘産地'に反発して、個々の作家・職人が漆の原点を見直した結果とも言えるかもしれない。
 ただ、他の産地同様、輪島もバブルの崩壊を機に徐々に変わってきたのだろうと思う。今では多くの塗師屋さん(=漆器店・漆器会社)が蒔絵などの付いていない無地の日用雑器を幅広く取り扱っている。シンプルな椀などは、作家物でない量産物でも良品が見つかると思う。

 しかし、輪島塗について私が一番アピールしたいのは普段使いできる点ではない。技である!その技には、(少し高価であっても)手元に置いて長年かけて堪能する価値が十二分にあると思う。輪島塗が日本一といわれる所以も、伝統に裏打ちされた技術が広く認められているからだと思う。輪島は木地、下地、上塗、加飾など、更に各職の中も細かく分かれ、徹底した分業制をとっている。分業制の利点は、個々の工程がものすごくハイレベルな出来になることだ。技が高ければ、その器は使い心地が良く長持ちすることになる。
 
 漆器というのは陶磁器やガラスよりも、塗り方の技術そのものが品質に直結する工芸ではないかと思う。例えば、椀の縁に漆を均一に塗るのは高い技術が必要だ。口当たりのためには程よい薄さでないといけないから、薄くて漆がきちんと付いているというのはなかなか難しい。初心者が不均一に下地付けしても上塗りしてしまえば一見きれいに仕上がるが、使ってみると支障が出てくる。まず不均一な箇所の漆が擦り切れてきてやがて木地が見えてくる。小さな傷から亀裂は広がるし、木は水気を吸って歪んだり腐ったりするから、その器の寿命を縮めてしまう。
 これはあくまで極端な場合であって、漆器はすぐ駄目になるという誤解を与えたくはないのだが、漆器は技術によってそれだけ良し悪しが違ってくる、ということをお伝えしたいのだ。その点、輪島塗は信頼を置けるものが多いのは確かなことではないだろうか?

 輪島塗の優れた点にうなずいてもらえるとしても、何を生活に取り入れようかと迷われるかもしれない。椀、盆、重箱、皿、鉢、盃…何がよいだろう。日用雑器も多くある。私は、あえて吸物椀をお勧めしてみたいと思う。上に述べた輪島塗の神髄が貫かれていて、かつ、気に入った形を選びやすそうだからだ。私自身は輪島塗を習いはしても、塗師屋さんから購入して使ったことはないので信憑性がないかもしれないけれど、これまで近くで遠くで輪島塗に接してきて、自分がお金を出して手に入れるなら吸物椀を選ぶかなと思う。
 輪島の吸物椀は、ごく薄い木地に丁寧に布着せ(傷みやすい部分に麻布を貼って強くする)して、輪島地の粉で下地付けしてあって、大変に丈夫でかつ軽い。職人技満載の器とも言える。丈夫にしたいなら木地を厚くすればよさそうだが、それは違うのだそうだ。薄い木地だからこそ表からも裏からも漆を芯まで吸い込んで、木地全体が漆の塊のようになるから木が割れたりせず、かえって丈夫になるという仕組みだ。手仕事の知恵ですね。
 吸物椀は蓋付きなので決して安い買い物ではない(絵柄がシンプルなものでも2万円位〜が目安)。5客揃えなくても良いし、1客ずつ数年がかりで揃えていく、というのも楽しそうだ。値段を考えれば毎日の汁椀には使いづらいけれど、お客さんを招くとき、家族のお祝い、ちょっと和を感じたいとき、と折々に登場する器と捉えたらどうだろう。用途も吸物だけでなく、刺身、和え物、ちょっとした煮物、洋風の前菜…工夫の余地はありそうだ。蓋は小皿・小鉢のようにも使える。
 吸物椀は店舗でももちろん探せるが、是非ネットや書籍などで正直な仕事をしている塗師屋さんを調べた上でお買い求めください。

 少し押しつけがましくなって申し訳ありません。けれど、今回の地震で輪島塗が受けたダメージを考えると、危機感が募るので、筆が走ってしまった。すでに90年代、相当数の職人が後継者を残さず退職または転職しているところに地震の影響が重なれば、技の伝承はどうなるのだろうと思う。
 以前に触れたDuco の渡辺さんのこんな言葉を覚えている。「私は作家が何人生まれて何人消えたって何も痛くない。でも、職人が一人いなくなることはとても痛い。それは漆文化の存続にかかわることだから。職人の分業が成り立たなくなれば日本の漆は倒れる。」
 もし、これから被災地に援助を考えることがあれば、輪島塗購入という方法も候補に入れていただけたら幸いです。

  
【2007.04.15 Sunday 11:09】 author : chiewatabiki
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