漆工 綿引千絵の奮闘記
 
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はじめて自分で「漆くろめ」!
5月24日 晴れ 気温30℃ 湿度20%(湿度計故障かも)

こんな日が漆をくろめるのに最適らしいので、前日に決行を思い立ちました。

「くろめる」とは、漆を精製することで、生漆の温度を上げながら撹拌して水分を飛ばし、上塗に適した状態にすることです。 
下地には、精製していない生漆(きうるし)を使えますが、中塗と上塗には、粘度、乾く速度、透明度の点で、くろめた漆が必要なのです。

大量にくろめる漆屋さんなどは、機械で熱を加えることも多いのですが、個人の作り手さんはお日さまの力を借りて、「天日くろめ」をすることが多いようです。
私は、この天日くろめを習いたくて、ツテを尋ねたけれど機会がなくて5年以上…(実際は忘れたふりして保留)。去年、伏見眞樹さんの漆くろめに参加させていただき、はじめて教わることができました。
秋に漆が届いたら自分でしてみようと思いながら、秋になったら忙しさにかまけて、くろめが可能な暖かい季節は過ぎ…今年になってしまいました。

思い立ったが吉日!
よくわからなくて不安だけど、まずはやってみよう!

実は道具も揃えていなかったのですが、「やりたい!」という衝動だけを頼りにタイミングを逃さず生きてきた私、間に合わせの道具でムリヤリ決行です。
くろめ用の大きな舟も鉢もない、混ぜる櫂もない!
そこで、塗師の持ち物、ヘラ箱を使ってしまいました。
混ぜるのも下地用のヘラの新しいのを、塗るときみたいに薄く削らないで、先だけ少し角度をつけて削りました。

意外にも、ヘラ箱は縁が垂直なので漆がこぼれることもなく、ヘラもよくフィットして、かなり快適に作業できました。
まぁ、ままごとのような量(200g)なので扱いやすいはずです。最低でも、1kgに対応できる鉢か桶をゲットしなくては…。


初めはこんな色。
この漆は「日本文化財漆協会」から購入した、浄法寺産の盛漆。
これは意外と茶色いです。採取後から今までに、少し空気に触れてしまったせいかもしれません。
伏見工房でくろめたのは、初めもっと白かった…。

以下、15分おきに撮影。色の変化、ご覧ください。




これがくろめ終わりの状態。

ある時点から、急に黒くなるでしょう!
黒くなり始めたら、なんだか焦りました。

今回は少量なので、あっけなく完了してしまいました。
正直、あのまったりとした、眠くなりながらひたすら手だけ動かす、あのちょっと苦しい時間を過ごしたかったのに…。


出来上がった漆は、伏見さんを真似してガラスボールに入れました。
おぉ、愛おしい色よ!

水分が飛んだので、元の量の85%になりました。
この率が高ければ高いほど、元々の水分が少ないということで、使える分が多い訳で、「歩留まりが良い」ということだそうです。
平均的には2割ほど減るのが普通のようです。

ただ、今回の85%に関しては、漆が良質という以上に、まだくろまり方が足りず、本当は水分が残ってしまっている可能性もあります。そうだとすると、塗ったときにきれいにいかないので、よくないことです。
ほんの少しの漆をガラス板に付けて見極めをしたときは、濁りがなくなって、すっきり透明に(=くろまった証拠)見えたのですが…気のせいかもしれず、まだ不安です。
後日また確認してみるつもりです。


ちょっとしたオチです。
5か月近いブランクを経て久々に漆の作業をした私は、翌日かぶれてしまいました。痒さはあまりないのですが、顔が腫れ、あまりのだるさと睡魔に寝込む始末!
漆歴14年なんて、まだまだヒヨッコだと思い知らされました!(否、年数でなく、私の歩み方がヒヨッコか!)
厳密には、先日のワークショップがブランク後はじめての漆作業で、そのときもしっかりかぶれたのですが、またもや漆の威力に完敗でした。



最後に、悪戦苦闘する私にも、珍しいはずの漆にも関心を示さず、日課(お庭でまったり)に専念する愛猫サリ。
ブログでは初お目見えかな。2歳になりました。
今度は妹ネコのトコもご紹介しますね。


【2013.05.26 Sunday 22:46】 author : chiewatabiki
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