漆工 綿引千絵の奮闘記
 
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井村あづみさんのアクセサリー
私はとてーもカジュアルなアクセサリーを作っている。
うつわを使う中で感じられる漆の温かさ、やわらかさ、色つやの変化を同じように実感できるから、アクセサリーは、漆を楽しんでもらうのにちょうどよいアイテムかと思い作っている。

でも、作る動機が漆に親しんでもらいたいということなので、漆を目と肌で感じる為だけの形になってしまう。つまり素っ気ない形になってしまう。

綿引千絵 革のネックレス(しかく・ねじり)、数珠玉のチョーカー

今まで高級でない漆のアクセサリーというのが世の中にそれほど無かったから、自分では、Tシャツ姿で着ける漆もそれなりに存在意義があるかな、と思っている。
日常的に、言ってみれば腹巻を身につけるのとあまり変わらない感覚で、ただ心地よいから着けている、という風に使っていただければうれしい。


ただ、まぁ、腹巻感覚?のアクセサリーだけでは世の需要は満たせないわけで‥‥お客様がもっと華やかな、もっとゴージャスな、もっとキュートなアクセサリーも求めておられることはうすうす感じていた。

そんな折、昨秋、井村あづみさんの展示会に伺う機会があった。あづみさんは輪島の研修所の先輩。卒業後の活動を今回初めて知り、素敵な作風に感動したのでみなさまにご紹介したい。

黒漆、金箔、螺鈿という漆の技をポップな表現で。

あづみさんはアニマル型トップのネックレス・チョーカーを多く展開されている。


すごいのは、確かな蒔絵の腕があるから、描き込まれた絵柄がとても精緻なこと。あづみさんは輪島の研修所卒業後、人間国宝の室瀬和美さんのもとでも学ばれた。正統な蒔絵技術を駆使しているので、可愛いものを作っても“おもちゃ”にならない。ポップなのに品がある。クッキーのように単純化した形と、大人っぽく格調高い蒔絵のミスマッチが、絶妙だなぁと感動したのだ。

画像が鮮明に出ないので割愛したが、オンドリ型×細かい花文様など、ほかにもたくさんのパターンがある。

可憐で繊細な図案があるかと思えば、こんなパンチの利いたカッコいい系もある。


型抜きシリーズ以外にも、漆玉、貝、木地に蒔絵したペンダントトップ、金属と合わせたリングなど多様な作品があるので、ぜひぜひサイトを覗いてみてください。
できれば、実物は画像の何倍も魅力的なので、展示会場で、蒔絵の技や色合いの妙を楽しんでいただければなぁと思う。




あづみさんは、私には無い「飾る」「装う」「粧う」ということに感性が開いている。
美術館所蔵の硯箱に施されるようなすごい蒔絵技術を、女性の装いに注いでくれている。
私たちが今持っている洋服と合わせて蒔絵を楽しめると思うと、一つ持ちたくなってしまうのではないだろうか?




【2011.02.22 Tuesday 10:06】 author : chiewatabiki
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