椿の実の箸置き |
今月も時間に追われてしまった。私は何事にもすぐ焦る性格なので、日数の少ない2月はよけいに、何もできなかったような気になります。でも、2月は短いから…と言い訳の材料にもしてしまいます。 何日か前、驚きの情報を耳にした! 私が定番にしようと3年前から毎年作っている物に「椿の実の箸置き」がある。花が終わった後、初夏に生る椿の実は秋にはぜる。箸置きは、油を採る実そのものでなく、はぜた殻の方に漆を塗るのだ(HP「器」の中に写真掲載)。自然の造形の美しさをそのままもらって、その形を壊さない下地の方法(蒔き地)を何層も重ねて作っている。 なんと、それと同じ椿の実が、同じように箸置きとして、某老舗塗師屋さんでも製品化されているらしい!「東京ドームのテーブルウェア展に出てたよー」と知人から聞き、なんとも言えずショックだった! 実はそれはてっきり私のオリジナルだと思っていた。椿の殻を箸置きにする発想を思いついた経緯も自分にとって思い出深かったから、私のトレードマークというか、私の少ない商品の中で「期待の星」とひそかに位置づけていた。 「でも、私も老舗の漆器屋さんと同じ発想を持っていたと思えば光栄なことですよねぇ。」と返答したものの、本音は「パクられたのでは!?」だった!自信過剰にも!過去2回出品したのがどちらも完売して「はじめての小さな手応え」をもたらしてくれた椿だったから、いくら相手が老舗でも先を越されたならガッカリだ(ToT) 日本人は縄文時代からあらゆるものに漆を塗りまくってきたのだから、たぶん椿の実を漆器にすることなんて本当は独創でもなんでもないのだろう。縄文人か鎌倉時代人かわからないが先祖も椿に塗ったかもしれない。 漆は動物の皮や骨にも塗られるが、植物をボディとして利用した漆器がだんとつに多い。ほおずきに漆を塗った香合もある。漆自体が樹液だから、漆と草木はたいてい相性が良いのですね。 今の時代、漆器といえばケヤキやヒノキやトチなど普通の木地の物がほとんどだ。私はそれプラス、草木の実や種や葉や皮など、自然の中にある美しい形やおもしろい質感もやっぱりもっと借りてみたい。そういうバラエティがあることは、みんなが漆を身近に感じられる一つのグッドアイディアでもあるんじゃないかなと思う。いろいろ作ってみます。 |
【2006.02.28 Tuesday 02:12】 author : chiewatabiki
|