漆工 綿引千絵の奮闘記
 
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うつわ&カフェ かくしち
 今日はうれしいご報告ができます。先月から新たに、東京・東久留米市の「かくしち」というお店で私の器を扱っていただけることになりました。現在は赤子椀を置かせてもらっています。試作品を含めて作ったものをあれこれオーナーさんにご覧いただいたところ、アクセサリーや私が取り組んでいる革の漆器にも関心を持っていただけたので、今後品数を増やせるようにがんばります。
 かくしちさんは初めてお邪魔したときから何か心地よいものを感じていました。「ここで自分の品物を売ってもらえたらなー」と密かに思っていました。せっかくなので、かくしちさんについて少しご紹介いたします。


 まずはお店情報から。

うつわ&カフェ かくしち
〒203-0054  東京都東久留米市中央町2−1−34
電話・ファクス   042-476-8050
営業時間     11:00〜18:30
定休日       毎週月曜、第1・3火曜
東久留米駅から徒歩15分

 店内は手前がうつわコーナー、奥がカフェになっている(カフェはオーナーの息子さん運営)。うつわだけ見に来てもいいし、コーヒーだけ飲みに来てもいい感じで、気軽に入れる雰囲気だ。実際、地元のお客様達は本当に気軽に入ってきて気軽に時間を過ごしている。その「人々の生活の一部になっている」感がまず素敵に思えた。
 うつわは陶磁器が多い。そのほか漆器、木工、ガラス、アクセサリーや人形まで、ジャンルを問わず手仕事の品々が並ぶ。有名作家さんの物もあるが、若手の物が目に付く。若い作り手を応援したいとおっしゃるオーナーの理念が感じられる品揃えだ。特にやきものは、しっかりした作りの器でも、若手であるゆえに手頃な値段が付いていて、使い手としてうれしい限りだと思った。それから、東久留米周辺はもの作りの人も多いようで、地元で活動する方の作品も見られる。こちらも技術とセンスを感じる素敵な品だった。
 
 
 以下は毎度ながら理屈っぽい話になりますが、「お店」や「売り方」について思案したことを書いてみます。

 作り手にとって、何を作るかは一番大事だけれど、どんな場所でどんなふうに売っていくかということも、とてもとても重要な問題だ。私も自分のぬりものを作り始めてからずっと考えてきた。
 私は「雑器」の作り手になりたいという思いが初めからあったので、気軽に入れる食器屋さんのような場所を漠然と想定していた。雑器というのは普通の人が日常で使える器ということだから、まだ漆器を使ったことのない人も含めて、一般庶民というか、一般生活者の目に多く触れる場所に置きたかった。とすると、うつわ好きな人や目的のある人が行くイメージの「ギャラリー」よりも、ふらっと立ち寄る人もいる「食器屋さん」的な性格の店がいいのかな、と考えていた(個人的には、銀座や青山のビルの奥とか地下とか裏通りにひっそりと佇むギャラリーを覗くのは好きだ)。
 ただ、漆の知識があってきちんと扱ってくれてお客さんにも説明してくれる店で、しかも近寄りがたくない庶民的な食器屋さん、というのはなかなか難しい注文かもしれない。それで私も、何となくのイメージから先に進めずにいた。まぁ、私自身がまだ定期的に一定量を生産できる腕前にすらなっていないのに、偉そうに店の条件を云々するのもおこがましいのだけれど。それでも、品物というのはすべて何らかの意図のもとに人が生み出されるのだから、その物に相応しい値段と売り方と使い方があるのだろうと思うので、頭の中では常に考えていた。
 
 自分の雑器を売る店として、とりあえず「食器屋さんであること」と「庶民性」という2つのイメージは頭にあった。最近になってもう一つ条件があったと気付いたのだが、それは「人の生活の場に店があること」だ。具体的には(関東の場合だが)、例えば都心の沿線でベッドタウンで、住宅地から散歩がてら行ける範囲といったところか。人が寝起きする生活圏内に素敵な食器屋さんがあったら、それほど気構えずに入れるように思う。地元のお店ならいつでも行けるから、十分迷ってから時間をおいて買いに行ったり、使い方なんかをお店に相談したり、自分に心地よい形で店と付き合えそうな感じがする。
 余談だけれど、時代の流れからしても、人や物が中央に中央に集まる傾向がひととおり終わって、「地方の時代」「地産地消」とか言うようになってきたし、「低炭素社会」を目指さなければいけないことだし、これからはあちこち出掛けていくより、人間の身の丈に合った行動規模になってくるのかなと思う。だから、地元でいい物を見つけたりすることが楽しまれるように、もうなりつつあって、もっとなってくるのだと思う。
 
 3年前かくしちさんを訪れたときすぐ「好きだな」と思ったが、考えたらかくしちは駅前商店街の少し先、住宅街にある。客層も老若男女、主婦をはじめ、親子連れ、若者同士、食器を見に来た夫婦、お茶を楽しむ老人、文化論を語らう紳士二人など、あらゆる年齢層のお客さんがいた。
 こんなお店なら、今までぬりものを見たことがなかった人も漆の黒や朱の深い色を美しいと思うかもしれない、ぬりものを触ったことがない人もお椀を手に取って漆の感触を好きになるかもしれない。漆は陶やガラスよりも実物を知るきっかけが圧倒的に少ないのが現実だから、出会いの機会さえあれば、使いたくなる人はきっと多いのではないか。かくしちに長居したときもオーナーさんとそんな話題になって、思いを共有できたと感じた。かくしちという出会いの場は与えていただいたので、あとは私が使い手の気持ちに引っかかる物を作れるか、なんだな。
【2008.06.13 Friday 19:51】 author : chiewatabiki
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この記事に関するコメント
昨日でしたか、また地震がありましたね。
そちらは梅雨の最中でしょうか?

昨日、今日と30度を越える暑い日でしたがそんな中、今日はプロ野球の公式戦を見てきました。
残念ながら応援しているチームは負けてしまいましたがHRがポンポン飛び出す面白い試合でした。

「どんな場所でどんなふうに売っていくか」
いろいろ考えられるんでしょうね。
日常使いの陶磁器に比べて漆のものは日本人として郷愁を誘いはするものの気軽にという感覚ではないのかも知れません。
“うるし”との出会い…私の場合は旅先の宿で作家さんの展示作品を見て…ということでした。
日常の様々なわずらわしさから離れた場所で自然の風景だったり宿の造りや食事(盛り付けとか使われている器とか)から感じる情緒だったり、宿の主人はじめ出会った方々との会話で得る
発見や様々な有情だったりが“うるし”との出会いを与えてくれたのかなと思います。

七夕に オペレぺレケプ照らす月 
      中洲に遊ぶは キキリトムトム

| リグンテキ | 2008/07/06 11:12 PM |
リグンテキさん

コメントを読むのが遅れました。すみません。
こちら埼玉は、梅雨明けを思わせるうだるような暑さが来たのですが、まだ少し降るみたいです。
最近は北海道の夏も暑そうですね。お身体お大事に。

漆との出会いのお話、たしかにそうですね。現代においては、漆は「郷愁を誘うもの」「旅先で出会う情緒」といった‘非日常’のものになっている感は否めません。のどかで歴史ある町で、拭き漆の古民具やら、美味しい料理が盛られたぬりものの器を目にしたら、あぁ和むなぁ、豊かだなぁ、素敵だなぁと私も思います。その感情はやはり、非日常の癒しなのでしょうね。

ただそれでも(だからこそ、と言うべきかもしれませんが)、私は「気軽な」ぬりものを目指したいと思っています。なぜなら、漆の本質が「人間の生活にとって有用で便利なもの」だと捉えているからです。
私の作るものは、日常で出会えて、生活の中で良さを感じてもらえたら最高だな、と思っています。特にアクセサリーや小物は、気軽で気楽な場面でしか引き立たないくらい、カジュアルなものが多いです。
非日常へと誘ってくれる要素も大切に思いつつ、同時に、みなさまの心地よい日常にちょっとでも貢献できるようなぬりものを作っていきたいものです。

キキリトムトム、何度聞いても素敵な響き!
| chie | 2008/07/10 3:17 AM |
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| jordan 11 space jam | 2018/05/26 11:45 AM |
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